女子ワールドカップ!アルゼンチンの優勝の理由【ホッケーニュース】
さくらジャパンも出場した女子ホッケーワールドカップが終了しました。順位は、1.アルゼンチン 2.オランダ 3.イングランド 4.ドイツ 5.オーストラリア 6.韓国 7. ニュージーランド 8.中国 9.インド 10.南アフリカ 11.日本 12.スペインでした。
アルゼンチンはプールマッチ1位で準決勝へ進出し、粘るドイツ引き離し決勝に進出。決勝戦では超満員のスタンドで大歓声の中、オリンピック&ワールドチャンピンのオランダを下して見事に優勝し、地元での開催に花を添えました。花と言えば、MVPに選ばれたルシアーナアイマール。長身で美人、スタイルがよくホッケーは世界最高、アルゼンチンではテレビの大スターであります。しかし、アルゼンチン優勝の陰には、彼女のプレーの変化が一番の理由であったと思わざるをえません。
北京五輪時、アルゼンチンも優勝候補の筆頭に上がるほど下馬評が高く、日本と同じプールでどれくらい実力が違うのか興味がありました。もちろんアイマールのプレーも注目でしたが。しかし、確かにアイマールはずば抜けて技術が高く、何人も恐れないまさに女王様というイメージでした。しかしながら、他の選手たちは彼女のプレーが予測できず、パスが回ってきたところであわてて対応するなど、精彩を欠いた状態で、チームとしては決していい状態ではなく、結果的に守備をやらないアイマールの個人プレーがさらに際立ってしまい、アイマールさえ押さえれば、強豪といわれるアルゼンチンもあまり恐怖感はなかったことを覚えています。一番印象にあるのは、もう一人のスターストライカー、ガルシアの存在感の無さ、力があるのにもかかわらず、アイマールの個人技に合わせようとするあまり、自分の良さが殺されていました。
翻ってこのワールドカップ。インターネットでも映像が見れましたのでアルゼンチンに注目してみました。それは、見事なほど北京とはまるで別なチームで本当に驚きでした。全体的に感じたことは、全員が前向きな姿勢で臨んでいること。試合前の表情は、喜びを隠せない選手、国家を聞きながら泣いている選手、自信満々の選手、研ぎ澄まされた冷酷な表情の選手などさまざま。今の時代、どのチームもプレスを仕掛けてくるのが当たり前ですが、アルゼンチンはこれをことごとくクリアー。まるで、プレスが来るように誘いこんでいるように冷静に対応していたのが目に浮かびます。また、得点の匂いのする時、必ずそのポジションに選手がいました。決して有名な選手でないのにこれも事前に分かっているかのごとく。一番注目したのは、アイマールとガルシア。アイマールは特に決勝戦においては、ほとんど自分の個人技術は披露せず、できるだけパスを散らすこと、決定的なアシストをすること、守備をすること、流れの悪い時にキープして時間の溜めをつくること、とにかくあの個人プレーの王者が、チームの為に、勝利のためにどうすればいいのかということをすべてやっていました。一番感動したのは、アイマールはいつもガルシアを見て、ガルシアのタイミングでパスを送っていたこと。いつもガルシアがどこにいるのかを考えていました。一方のガルシアは、決勝戦では自分が得点はできませんでしたが、すべてのゴールを演出したのは実はガルシアでした。ものすごい気迫。しかし、冷静なプレー。ゴールへのあくなき執念。ストライカーとしての意識の高さを見せつけました。おそらく。ボールキープ率やゴールシュート、PCなどはオランダの方が多かったと思いますが、少ないチャンスをものにしてアルゼンチンは優勝しました。ファンタスティック!アルゼンチン!
ここからはコーチングセミナーになってしまいそうですが、私が見たところ、このようにチームを変えたのは、コーチだと思います。北京五輪後にコーチに就任したのがだれかはわかりません。しかし、北京五輪の時に弱点であった部分が見事に改善されていることや主力選手の意識「チームの為にはどうすればいいのか」が明らかに変化がありました。おそらく、見ていた人は一目瞭然でその違いがわかると思います。チーム作りとはどのようにすべきなのか?このアルゼンチンチームが手本を示しているようですね。とにもかくにも全員が前向き!やればできる!そんな意識を彼女たちの中に見ました。